M-1グランプリ2010
2001年から始まった、漫才師No.1を決める大会も今回で10回目。
…と同時に、今回をもって「M-1グランプリ」の幕が閉じることとなってしまいました。
第1回の中川家から始まって、アンタッチャブルやブラックマヨネーズ、チュートリアルなど大会優勝がきっかけでブレイクしたコンビも多く、また麒麟に南海キャンディーズ、オードリーなど、優勝こそ逃したもののその後活躍したコンビも現れるなど、お笑いコンビにとっては1つの権威ある大会でした。
そんな「M-1」ファイナルの決勝戦出場者は、9年連続となる笑い飯、3年連続となるナイツ、2年連続となるハライチ、そして以下初の決勝進出となったピース、ジャルジャル、カナリア、銀シャリ、スリムクラブという8組。
そして準決勝・準々決勝で敗退となったコンビの中には、前回覇者のパンクブーブーを初め、ウーマンラッシュアワーにタイムマシーン3号、磁石にモンスターエンジン、かまいたちなど数多くの強豪が揃った形に。
近年ではこの中からファイナルステージに進むことも多く、この枠も非常に見逃せないところ。
それでは、今回の決勝のネタなどについて、1つずつ感想を書きたいと思います。
もう多くのブロガーの方がいろんな感想・批評を書かれていると思いますので、僕なりの感想ということで。
ちなみに今回はリアルタイムでTwitterを使って実況もしたので、そちらも使用したいと思います。
ファーストステージ1組目・カナリア
オリジナルゲーム(今考えると、“オリジナル”というほどでもなかったか)ネタはこういう場では厳しかったりするのかな、という感じも否めないですが、安達が歌ボケした後に溝黒に「ド!」と振った天丼の流れは結構面白かった。
途中から「レ!」に変わって溝黒が安達が歌った替え歌を歌うところとか。
基準で85点と思ったけど、もう少し高くても良かったかもしれない。
ファーストステージ2組目・ジャルジャル
コントでは割と遊び感覚のある感じのネタをやるジャルジャルだったけど、漫才の最初は割と良くありげな感じを受けた。
なんだろう、ジャルジャルってネタ番組で観るときはそんな毛嫌いとか全然ないんだけど、こういう賞レースで観るとなんか変な感覚で観てしまう。
これはあくまで相性だと思うんだけど。
敗者復活戦出場者発表
「2〜3候補がいた」というのは、CS・スカイAで敗者復活戦を観ていて、ウケが良さそうだったのがウーマンラッシュアワーにタイムマシーン3号あたりもいて、割と誰が来てもおかしくない感じでした。
そんな中でもやはり前回王者が抜きん出た感じで決勝進出。ここは納得のいくところだったかな、と。
ファーストステージ3組目・スリムクラブ
ネタ自体は「エンタの神様」でしか観たことが無く、そこでも「フランチェン」という漫才とは全く関係ないキャラクター芸だったスリムクラブ。実質初視聴でした。
観る前の印象ではそれほど“手数”(という言葉はここではあまり使いたくないんだけど、仕方ない)を打つような感じには見えなかったので、不安だったのですが、始まって1分後にはその不安は一蹴。
確かに4分間に多くのネタを盛り込むタイプではなく、というかむしろその逆で、独特の“間”で笑いを獲っていくスタイルにビックリ!
近年の優勝コンビが繰り出すタイプとは全く違った、「M-1」では逆に新しいスタイルのネタでやりきっていました。
これはもしかしたら、もしかするかも…と感じさせました。
ファーストステージ4組目・銀シャリ
ここに関しては、「ネタは悪いんじゃない、順番が悪かったんだ…」としか言いようがないです。
ファーストステージ5組目・ナイツ
「スポーツイヤー」と書いたけど、実質“時事ネタ”でしたね。
このコンビに関しては、毎年思うけど土屋のツッコミが「M-1」では冴えるなぁという印象が強い。
塙のおとぼけなボケに対するカブせ方が個人的にはかなり好き。
ネタ自体は今年もナイツらしいネタで、今年も楽しませてもらった。
ファーストステージ6組目・笑い飯
昨年『鳥人』で100点満点の評価をもらった笑い飯、今年は「サンタクロース+ケンタウロス」で『サンタウロス』という、またまた“笑い飯ワールド”で会場を笑いの渦に掻っ攫った。
『鳥人』と比べてしまう部分も多いかもですが、むしろその系統のネタを待ち望んでいた人も多いのではないかとも思われるので、ホントここでの笑い飯は怖い(笑)
ファーストステージ7組目・ハライチ
昨年同様、岩井が1つのワードから次々と畳みかけ、それを澤部が乗っかりツッコミするスタイル。
ホントこのネタでの澤部のノリって面白いよなぁ。さすが。
その後のハライチ評で南原清隆さんが言った「変化球1つあるといいと思う」は、難しいところだけど今後の課題なのかなぁ、という印象でした。
ファーストステージ8組目・ピース
このネタ自体は昔からあるネタらしいのですが、それを売れっ子となった今あえてやるというのはまた違った味があるものなんでしょうか。
何はともあれ又吉のキャラがあってのネタだな、という感じでした。「魂を吸う」なんて他のコンビは無理だろう(^^;
ファーストステージ9組目・パンクブーブー
上記のとおりで、うまく言葉が見つからないけど巧みなんだよなぁ、ここ。
ネタ終了時点で「敗者復活トップ→ファイナルステージ進出」の流れが今年も見えてきたもの。
以上9組が終わり、ファイナルステージに進出したのは、笑い飯・パンクブーブー・スリムクラブの3組という形に。
この3組の進出は納得でしょう。審査員も言っていたけど「スリムクラブが“本物”か観てみたい」というのも激しく同意でした。
ファイナルステージ1組目・スリムクラブ
ファイナルステージもさすがの一言。ここでも独特の“間”でうまく笑わせており、いま考えてもホントにズルすぎる。
ファイナルステージ2組目・笑い飯
最初の『ケンタウロス』ネタと比較してしまうと弱い感じもしたけど、昨年のファイナルステージネタからしたら十分楽しめた。
昨年のファイナルは「チンポジ」が悪いみたいに言われているけど、個人的には4分の間に別のネタを2本ねじ込ませたことが原因だと思っているので、今回は4分で1つのネタをやっていたのは良かったと感じた。
ファイナルステージ3組目・パンクブーブー
ここはファーストステージとほぼ同じようなネタだった印象もあり、これは審査する側からしたら好まない傾向も出そうだなと感じた。
やはり敗者復活からの優勝というのは難易度が高いんだなぁ。
最終結果発表
この3組のネタを観た時、これはスリムクラブの流れかなぁ…という風に感じましたが、最終的には以下の通りに。
スリムクラブ:3票(島田紳助・宮迫博之・中田カウス)
笑い飯:4票(松本人志・南原清隆・大竹一樹・渡辺正行)
パンクブーブー:0票
その結果、9年連続出場の笑い飯が、ラストにして悲願の優勝を決める結果に。
確かに笑い飯は文句ない漫才していたものなぁ。おめでとうございます。
松本さんは「9年決勝に進み続けてきて、獲らせてあげたかった」との旨の感想を挙げており、僅差になった時はこういう“人間性”での評もあり得るのかなぁ、と感じました。
ただ大会委員長の紳助さんは、昨年笑い飯に満点を上げたにもかかわらず、今回の最終決戦ではスリムクラブに票を投じており、「最終決戦でネタのクオリティが必ず落ちる。今回もやりよった」と、今年も最後の笑い飯を認めなかったところも印象に残る結果になりました。
稀にみる僅差での戦いは笑い飯になりましたが、今回のスリムクラブの2位はこれまでにはない新しい展開だったのではないでしょうか。
「M-1」閉幕に関して
…とはいいつつ、「M-1グランプリ」は今回の大会でついに幕を下ろすことに。
やはり紳助さんや「M-1」サイドの中でも“10年一回り”というのが脳裏にあったのでしょうか。
とはいえこのような大会が無くなってしまうというのは非常に悲しいものはありますよね。
昨年決勝に初出場したハライチのように「『M-1』をきっかけにお笑いを始めた」人も少なからずいるだろうし、今回のスリムクラブのようにまだまだ既存の「M-1」にはないタイプの芸も出てくるだろうし。
ただ記者会見の中では「M-1はいったん終わりますけど…でも、(こういったイベントは)なくしたらアカンな、とつくづく思いました」とも語っているらしく、もしかしたらまた新しい形での「M-1」が観られるかもしれないですね。
今回の審査員に宮迫さん・大竹さんがいた、というのも何かそういう意味あるのかな…?