連続ブログ小説「10/10の夢旅人」

●前回のあらすじはid:seigiyaiba:20050618をどうぞ。

第9話「再会」

『予想はやめろ…』


あの男の言ったこの言葉。一体どういう意味だ…?
それが気になって、ここ最近僕は夜も眠れないのだ。


あの“事件”から1週間、僕は久々に図書館へ出かけた。もちろん予想をするためだ。い
くら『予想をやめろ』と言われても、こればかりはそういうわけにもいかない。
僕はその途中、あの像の前を通った。そういえばこの像のモデルってあいつだったっけ。
よく見たことはなかったが、はっきり言ってあまり似ていない。そもそも僕に似ていない
のだ。
そんな“この街の顔”を通り過ぎようとしたとき、近くに見覚えのある顔が現れた。


「おーい、マリー!」
「ん…あ、久しぶり〜!」
「お前もやっぱりこの男に興味あるクチ?」
そう言って僕は銅像を指差した。
「うん、そのクチ。でもビックリしたー、一瞬あんたのイタズラかと思ったわよ」
「なんか会う人会う人みんなに『ホントに似てるわね〜』って言われて、正直困るんだよ
ね…」
「まあ、無理もないけどね。
ところで、ポンはいないの?」
「『ポン』って…僕だっていつもあいつと一緒にいるわけじゃ…」
「ここで会ったのも何かの縁、またあんたのところに泊まらせてよ」
「だからあそこは僕ん家じゃないから…」
「じゃあポンの許可もらえばいいのね…フッフッフ…」
ヤバい、あいつ絶対力業で貰う気だ…。


その夜、マリーは僕らと同じ部屋にいる。
マリーはやはり力ずくのつもりだったらしいが、ポンちゃんがあっさりと「ハイ」と言っ
たのだ。
…明らかにイヤそうな顔はしてたけど。
「そういえばマリーさん、“あの男”に会いたい、みたいなこと言ってたけど、コイツ、
会ったことあるみたいよ。しかもここで」
「そうなの!?そんな事まったく言わなかったじゃん!それで、なに話したの!」
「ちょっと落ち着けよ!それがね…」
それから僕は、事のあらましを語った。
「それは…」
すっかり黙ったマリー。そして彼女は、
「それは、あんたが止めたほうがいいわね」
「なんだよそれ!」
僕は思わず声を大にしてツッコんでしまった。
「だってその人、全部当てたって人なんでしょ?あんたも当たる気配もないし…」
「だからって止めるわけにはいかない!僕にはやらなくちゃいけないことが…」
すると、マリーの表情が突然曇った。
「ああ、それならもう必要ないわ…」
「おい、どういう事だ!?」
「アンタん家に行ってみればわかるわよ」
「ったく、なんなんだよ…」
僕はそう言って、すぐさま家へと飛び出した。


…って、前にもこんな終わり方があったような…。