ホリデーインタビュー

祝日の早朝にNHKで放送している番組で、5/4放送では鈴井貴之さんが取り上げられていたので、迷いなく録画。
映画監督・事務所社長、そして何より“ミスター”である鈴井さんの魅力に迫る23分間のインタビューでございました。
しかし“リアル社長室”を初めて観ましたよ。スゴイ立派な社長室でしたね(^^;


その中で、「水曜どうでしょう」が生まれ、そしてこの番組にかけた思いみたいなものを語っていたので、取り上げたいと思います。
インタビュアーは、札幌放送局の南山吉弘アナウンサー。


南山「元々はどういう形で話が来たというか、どういう形で始まったものなんですか?」

「なんか、北海道ローカルの番組って、“地元に根差した”っていうのが第一前提で作るんですけども、そういうのを1回度外視して、北海道の番組だけども、北海道じゃないところでロケをしましょうよ――
ただ本当に本当になんでしょうね、『戦略』であったり『計算』であったりとか…そんなものは一切なく、『ま、どうせ半年で終わるんだから』っていうような思いで、自分たちがどうやったら面白いかな…っていう感じでスタートしましたね、本当に」

北海道に限らず、地方の番組というのはその地方に根付いた番組を作るのが常だという印象ですが、「どうでしょう」には北海道らしさとはまた1つ違った実験的な企画が多かった。
「試験に出る富山県・石川県」とか「四国八十八箇所巡礼」とか、いかにも道外ロケをうたったメイン企画も多く、それが他の地方の番組との違いなんだろうな、と思います。


また、「どうでしょう」は帯であった前番組(「モザイクな夜V3」)が終わってから繋いだ一番組で、鈴井さん自身も「すぐに終わる」という精神で実験的な企画も多かったそうですし。
まあまさか当初はここまで大々的なヒットになるとは予想もしなかったんでしょうけど。


南山「あれでも番組として、鈴井さんご自身も出演もすると。で、大泉(洋)さんをパートナーというのは何か狙いはあったんですか?」

「実は番組のスタート当初というのは、企画は僕が考えましたけども、ロケ先での展開での破天荒な部分っていうのは、ディレクターであったり大泉っていうのが作り出していったもので、テレビ界の常識というか、テレビ人の常識的なことがあまりなかったんですね、他のスタッフ。
ですから実はロケ現場では1番僕がいつもイライラして、
  鈴井『こんなんでどうする?段取りどうなってるんだ?』
  ディレクター『そんなのは決めてない』
  鈴井『どうなるかわからないじゃん、それでいいのか?何かあったらどうする?』
…とかっていう、ホントにハラハラドキドキしていたのは僕…で、あのーメンバーにとっては『いや、なるようにしかならないだろう』っていう感じでの、“いい意味での開き直り”があったので、ああいう番組になったんでしょうね」

東京ではあり得ないであろう、「ロケハンやシミュレーションなどもロクに行わない」番組で、鈴井さんだけは「あらかじめ想定するものが常識」と考える一方で、あくまで地方の放送局のディレクターであった藤村忠寿さんらはそういう常識を知らない。もしくはわざとそうしただけなのかも知れないですが。
そしてもちろん大泉さんも当時は学生でしたし、半分素人な部分もあったので、あくまで大人に任せた部分もあったのでしょうし。


まさに番組コンセプトである「何が起こるかわからないから旅なんだ」を地で行く軍団だったんだな、というのがわかります。


南山「元々あまり制約とかが無かった、自由な雰囲気があったっていうのは大きいんでしょうか?」

「日本国内でもサイコロを振るっていうのはどこへ行くかわからない、『この先何が起こるかわからない』っていうところがこの番組の面白さであると思いましたから。
出ている人間、作っている人間にとってはドキュメンタリーなんですよね、まさしく本当に。その都度『こんなことが起きた』っていうような…」

ドキュメンタリーだったからこそ、「壇ノ浦リポート」や「ここをキャンプ地とする」などの名場面・名言が生まれたんだと思います。
そして僕たち“どうでしょうバカ”も「一生どうでしょう」する覚悟を持つことができた。


南山「で、いま面白い事っていうトコでやってみて、得たモノというか、学んだことというか…というとどういう事ですか?」

「だからよく喩えてるのは、僕はホントに『形は悪い、こんなにねじ曲がったキュウリかもしれないけども…見栄えはスッゴイ悪いけども、食べてみてこんなに瑞々しいキュウリ食べたことありますか?』っていうものを作りたいな(と思っています)。
でも一方ここできれいなキュウリっていうのも需要があると思いますから、大切なことで…どちらかを肯定しどちらかを否定するっていう事ではなくって、“両者のバランス”それを実は我々は北海道を拠点にしているからわかることでもあろうかな、と思ってるんですよね。
『東京で動いているのがこうだったから地方でこういうことをやる』『地方でこういうところが足りないな、と思ったら中央でこういうことを学んでこよう』というような形――両方の利点を活かして、自分たちの表現が一体どういうものができるんだろうか、っていう可能性を探っているっていう段階です」

鈴井さんも数年前に映画監督として勉強するため、“中央”である韓国で勉強とかもありました。おそらくそこで吸収したものもあったんだろうな、と思います。


その後、鈴井さんの“監督”としての面でのお話へと続きますが、「銀のエンゼル」では北海道の魅力である“きれいな風景”をあえて出さず、電柱をわざと解りやすく映して「生活感」を出した表現にしたのだと語っていました。


しかしNHKの番組でここまでわかりやすく「どうでしょう」の話を引き出すとは思わなかったです。録画して正解でした。
副題も“メイドイン北海道でどうでしょう?”ですからね(^^;


再放送は5/8(土)にやるそうです@CUE公式…ただし北海道地方のみだそうですが。